皆さんはロードバイクのタイヤ空気圧を気にしたことありますか?
タイヤの空気圧といえば、一般に「標準は7気圧」と言われています。ここではもう少し深く考えていきます。
まずは転がり抵抗を知ろう
ホイールが地面を転がると、減速させてしまういくつかの力(抵抗)が働きます。そのうちの一つが転がり抵抗です。他の抵抗としては空気抵抗、ハブでの運動エネルギーの損失等があります。
転がり抵抗はよく「タイヤと地面との摩擦抵抗」と理解されていますが、これは誤解です。転がり抵抗は「タイヤが変形するときにおこるエネルギーの損失」です。
タイヤが以下のように変形しながら転がっていくのは容易に想像できると思います。
丸い形状(接地前) → 平らな形状(接地中) → 丸い形状(接地後)
タイヤの素材(ゴム)を変形させる時にはエネルギーが必要になるため、ホイールの運動エネルギーが使用されます。このとき使われたエネルギーのほとんどは、地面から離れたときにタイヤが反発して元の形状に戻る弾性エネルギーとして保存されます。しかし、一部のエネルギーは戻る際に、熱としてエネルギーが一部失われてしまいます。平滑な地面ではタイヤを高圧にするほどタイヤの転がり抵抗を小さくするころができます。
しかし、実際の路面では一定の内圧以上では転がり抵抗が逆に大きくなります。実は転がり抵抗は路面の凸凹などによって変化するのです。この要因はインピーダンスなどと呼ばれています。
まとめると、
- 低圧ではタイヤが変形して元の形状に戻る際にエネルギーが損失しやすい
- 高圧ではインピーダンスによりエネルギーが損失しやすい
- もっとも軽く転がるタイヤ内圧が存在する
空気圧で転がり抵抗以外に変わるもの
パンクリスクを重視するなら高圧
空気圧が低すぎるとパンクリスクが増します。パンクリスクを重視するなら高圧にしましょう。
乗り心地を重視するなら低圧
柔らかめにセッティングされたタイヤのほうが、凸凹のショックを吸収してくれます。
グリップ力を重視するなら適度な空気圧
濡れた路面を走る場合は「グリップ力」を高める必要があります。高圧すぎると接地面積が減ってしまい、グリップ力が最大限発揮できない場合があります。グリップ力を重視するなら少し空気圧を低くしましょう。
適正な空気圧の決め方
空気圧によってメリット・デメリットがあるため、結局どの程度が適正な空気圧なのかというのは難しいところです。
体重
適切な空気圧に関してはたくさん検討されてきました。こちらはミシュランが発表している推奨空気圧です。
これのグラフを見ると、65kgの人が、23Cのタイヤを履いた場合、推奨空気圧は7気圧ほどです。よく言われる標準7気圧という数字はここから来ているのでしょう。ここから体重が+15kgにつき、空気圧は+1気圧が目安です。
ホイールの前後
前輪と後輪では、後輪のほうが多く荷重がかかっています。一般にフロント45%、リア55%程度と言われています。そこで前輪を後輪よりも0.5気圧ほど低くすることができます。これによって快適性も増します。
コース・路面状況
ふだん走る道路コンディションは個人差があります。路面がきれいな場所に住む人は高めの空気圧でも快適だろうし、凸凹道が多い地域の人はそれに合わせて微調整した方がいいでしょう。
荒れた路面を走る場合は「乗り心地」と「路面伝達性」、濡れた路面を走る場合は「グリップ力」を高める必要があります。つまり、空気圧を下げます。どれだけ下げるべきかは路面状況によりますが、だいたいの目安は-0.5~1気圧。
危険なコーナーの多いコースを走るなら、グリップ力を重視して空気圧を0.5気圧ほど下げます。
ヒルクライムの場合は「低速かつ、グリップ力が要らない」という考えから、
空気圧を高めに設定する人が多いです。
タイヤの種類・幅
タイヤの種類によって硬さが異なるため、乗り心地が変わってきます。硬いタイヤで乗り心地が悪い場合は空気圧を下げることもあります。
また、25Cでは23Cよりタイヤの中の空気量が増えるため、空気圧を下げることができます。23Cに比べて0.5気圧ほど下げることができ、「乗り心地」と「グリップ力」、さらには「路面伝達性」が上がって、快適、かつ無駄の少ない乗車フィーリングになります。
チューブの種類
チューブにはブチルチューブ、ラテックスチューブがあります。ブチルチューブは1日にそれほど空気は抜けませんが、ラテックスチューブは1日で1.5~2.5気圧ほど抜けます。
ロングライドなどで12時間乗るとすると、出発時と帰宅時では、1気圧前後変化することになりますから、ラテックスチューブを使用しているなら、走行時間を考慮して、空気圧を少し高くしておく必要があります。
あとは乗り手の好み
計算式に頼るのもいいけど、大事なのはちゃんと自分で乗って走って確かめることです。人によって走り方は違うし、感じ方も異なります。
もう少しコロコロ感がほしいと思えば高めの空気圧に調整し、乗り心地を重視したいなら低めの空気圧に調整しましょう。