今回は「RIDEA ROAD ELLIPTIC RING 4A W2」の楕円ナローワイドチェーンリング(38T)と「ZTTO SLR2」というスプロケット(11-36T)を使用してフロントシングル化してみました。
フロントシングル化のビフォー・アフター
まずは結果からお見せしましょう。
⇧Before
フロントダブルのコンパクトクランクってすごく大きく、バランスが悪いように見えます。
⇧After
一方、フロントシングルではだいぶすっきり。フレームの美しさも際立ちます。
ちょっとスプロケット大きすぎるけど、全体としては満足です。気に入った。
そして、ZTTO SLR2は裏側がすべてシルバーのアルミなので、シマノよりもずっと美しく、クロモリに合う!
フロントシングル化の経緯
フロントシングル化にはかなりメリットがあります。
- 構成パーツがシンプルになる
- 変速調整が簡単
- BB周り、フロントディレイラー周りの掃除が楽
- 段階的&シンプルな変速が可能
- ナローワイドチェーンリングの使用でチェーン落ちしない
- 使用するギア比に調整できる
- 場合によっては大きく軽量化できる
もちろんデメリットもあります。
- ギア比の選択が難しい
- ギア比を同じにするとワイドレシオ化する
- クロスレシオ化するとギア比が狭い
- トップ、ローギアでチェーンラインが悪い
でもメリットが大きいので、今回はフロントシングル化に踏み切りました。
必要なギア比を考える
私のロードバイク Raleigh CRF のギア比と速度はこんな感じ。
表1. ギア比と速度 [条件:ケイデンス90rpm, 周長2105mm(700x25C)]
基本的な用途は、「移動手段」または「ポタリング」で、軽く乗ってるだけなので、アウター×11-14T(赤文字)はほとんど使用しません。とはいえ、いざとなれば時速40kmくらいは欲しいところ。なのでギア比3.5くらいは欲しいところです。リアスプロケットのトップはほとんど11Tで固定なので、フロントチェーンリングは最低でも38T~40Tが必要ということになります。(11×3.5=38.5)
一方で、激坂が多い地域に住んでいて、効率の悪いフラットペダルでの使用となるため、ギア比1.1ぐらい軽いギアがほしいところです。ローギアは34T~36Tぐらいが理想です。(38/1.1=34.5)
この組み合わせならチェーンリング38T、スプロケット11-34Tなら市販製品で対応できそうです。また、シマノのリアディレーラー(GSタイプ)は34Tまで対応ですが、実はフロントシングルなら38Tぐらいまで対応できます。
結局、チェーンリング38T、スプロケット11-34Tまたは11-36Tでいくことにしました。11-36Tならギア比と速度はこんな感じ。
表1. ギア比と速度 [条件:ケイデンス90rpm, 周長2105mm(700x25C)]
トップ側をもう少しクロスレシオにしたいですが、概ね満足です。フラットペダルで坂の多い街乗りにはかなりいいギア比なのでは。
チェーンリング選び
38Tのチェーンリングを選ぶわけですが、フロントシングル化するなら断然ナローワイドチェーンリングです。ナローワイドチェーンリングで有名どころは以下の通り。
- Wolftooth(ウルフトゥース)
- RIDEA(リデア)
- absoluteBlack(アブソリュートブラック)
フラットペダルで登りをより楽にするために、38T楕円チェーンリング(シマノ4アーム用)にすると製品はかなり絞られます
- Wolftooth:Elliptical Asymmetric 4-Bolt for Shimano (38±2T、67g)
- RIDEA:ROAD ELLIPTIC RING 4A W2 (38±2T、67g)
- absoluteBlack:CX OVAL (38±2T、67g)
今回はROAD ELLIPTIC RING 4A W2がフリマアプリで安く手に入ったのでこちらを使用。ちなみに、カラーは元々ブラックなのですが、クロモリに合わせるために、超低クオリティですがシルバーへスプレーで塗装しちゃいました。すでにチェーン部分は少し剥がれてます。
11スプロケット選び
ロード11速用の11-34T、11-36Tのスプロケットでは、選択肢はかなり限られています。探したところだと以下の通り。
製品 | 価格 | 重量 | 歯数 |
Shimano 105 R7000 CS-HG700-11 | 6000円程度 | 379g | 11-34T 11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34 |
Shimano ULTEGRA R8000 CS-HG800-11 | 8000円程度 | 335g | 11-34T 11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34 |
ZTTO SLR2 11-34T | 8000円程度 | 228g | 11-34T 11-13-15-17-19-21-23-25-28-31-34 (11-19:スチール/21-34:アルミ合金) |
ZTTO SLR2 11-36T | 9000円程度 | 236g | 11-36T 11-13-15-17-19-21-23-25-28-32-36 (11-19:スチール/21-36:アルミ合金) |
Sram Rival PG-1130 | 420g | 11-36T 11-12-13-15-17-19-22-25-28-32-36 | |
Sram FORCE PG-1170 | 12000円程度 | 366g | 11-36T 11-12-13-15-17-19-22-25-28-32-36 |
SunRace CSRX1 | 7000円程度 | 360g | 11-36T 11-12-13-15-17-19-21-24-28-32-36 |
シマノという信頼性と実測335gの重量面を考慮すれば、Shimano CS-HG800-11(11-34T)が第一候補ですね。
中華メーカーZTTOのSLR2もおすすめ。Aliexpressで購入することができます。実は品質がよく、動作も問題ありません。11-34Tと11-36Tが選べるのが魅力的です。磨り減りやすい11-19Tはスチール製、ロー側に高強度アルミ合金を素材を使用しており、236gとかなり軽量化されています。ロー側はアルミ合金ということで耐久性はスチールに比べて劣りますが、趣味走行の脚力なら、アルミ合金ですら磨り減りはそれほど気になるません。今どきフロントチェーンリングだってアルミ合金製なんですし、せいぜいフロントチェーンリングの半分程度の寿命です。チェーンの磨り減りが軽減されるというメリットもあります。今回は「ZTTO SLR2 11-36T」を使用することにしました。
ちなみに、こちらからAliexpressに登録すると、約2000円のクーポンがゲットできます!ぜひご活用ください。
ギア比と考えると、12Tが利用されているSram FORCE PG-1170やSunRace CSRX1もかなり魅力的。SunRace CSRX1なら価格もお手頃です。
フロントシングル化の作業
- ホイールを外す
- チェーンを外す
- フロントディレイラーのケーブルを取り外す
- STIからアウター・インナーケーブルを取り外す
- クランクを取り外す
- クランクからチェーンリングを取り外す
- クランクアームに新しいチェーンリングを取り付ける
- アルミボルトなので締め付けトルクは4N・m
- リアディレイラーからケーブルを取り外す
- リアディレイラーを外す
- 新しいリアディレイラーを取り付ける
- ホイールをつける
- リアディレイラーの可動域をある程度調整する
- チェーンを取り付ける
- チェーンの長さはローギアにかけて+2コマ
- 今回は106コマ(240g)でたまたま元と同じ長さ
- リアディレイラーにケーブルを取りつける
- 変速調整する
- トップ位置
- ロー位置
- Bテンションボルト
RD-R7000-GSやRD-R8000-GSは、ローギアは30~34Tまで対応ですが、今回はフロントシングルなので36Tでも対応できました。もう少しだけいけそうです。フロントシングルなら38Tあたりまでならなんとかいけそうです。11-38Tのスプロケットを見つけるほうが難しいかも。
300g(頑張れば400g)の軽量化
今回は290gの軽量化の軽量化に成功しました。
- 取り外したもの (合計827g)
- アウターチェーンリング(ナット付き) 144g
- インナーチェーンリング 33g
- チェーンリング固定ボルト (ナットなし) 12g
- フロントディレイラー(台座付き) 110g
- リアディレイラー (105 RD-5800 ss) 229g
- アウター・インナーケーブル 27g
- スプロケット 272g
- 取り付けたもの (合計537g)
- シングルチェーンリング 67g
- チェーンリング固定ボルト7g
- リアディレイラー (105 RD-R7000-GS) 227g
- ZTTO 236g
こうみると、フロントシングル化って構成パーツが減っていることもわかります。実質的にはフロントディレイラー、台座、チェーンリング1枚、インナーケーブル、アウターケーブルの5パーツも減っているわけですから、メンテンス性がいいことは明らかです。
通常はシマノスプロケット11-34Tで150g近く重かったり、台座がフレーム固定だったり、いろんな理由から重量がトントンになることも多いのですが、最大300g程度軽量化できるのは事実です。
左STIは こちらのブレーキレバー(片側115g) などを使用すれば、さらに125g程度軽量化できます。
乗り心地
トップギア・ローギアの抵抗は思ったより小さい
フロントシングル化で懸念していたのはトップギア・ローギアの抵抗。トップギアでは少し抵抗を感じるものの、ローギアではあまり抵抗を感じない。いずれにしてもトップギア・ローギアはそれほど使用しないので問題を感じなかった。
変速性能はやや劣るが特に困らない
フロント変速がなくなり、リア側だけの変速になったという意味では楽になった。自分にとって、ワイドレシオな変速もそれほど悪くない。
変速性能という意味では、トップギア側ではスパスパ決まる。また、トップ側からローギア側に変速する際も比較的スパスパ決まる。
しかし、ローギア周辺でローギアからトップ側に変速する際、特に11s→10s, 10s→9sは、「ガッチャン」となり、スパスパ決まらない。おそらく理由は2つ。
一つは、11s(36T)→10s(32T)や10s(32T)→9s(28T)の歯数と歯数差が大きいこと。チェーンの角度が大きく変わるのでチェーンがガタつく。
もう一つは、楕円チェーンリングを使っていること。楕円チェーンリングを使うとチェーンのテンションが変化する。これが結構変速性能に影響を及ぼしている気がする。
とはいえ、普段使用で困るポイントはない。
まとめ
最近はメンテナンスやカスタムに慣れてきたというのもあって、ゆっくりやって1時間程度でできちゃいました。結構かんたんにフロントシングル化できちゃうのでおすすめです。みなさんもぜひやってみてください。