この記事ではロードバイクでペダリング時にリアホイールにかかるスポークの引張力・圧縮力を計算してみます。今回の目的は最大でどれくらいかというのを計算することを趣旨にしますので、計算条件ではすごい脚力の持ち主が理想的に力が伝わるロードバイクでペダリングしたときのことを考えてみます。
条件は以下の通り
- ライダー条件
- 動力P:400[W]
- ペダリング:90 [rpm]
- バイク条件
- フロント歯数:50T
- リア歯数:11T
- GrandPrix 5000のタイヤ周長:2.145 [m]
- ハブ半径(P.C.R.):22.5 [mm]
- スポーク本数:24
この条件で計算される項目は以下の通り。
- ホイール回転数N:409 [rpm](=50/11×90[rpm])
- 時速:52.6 [km] (=409[/min]×2.145[m]×60[min/h]/1000[m/km])
動力P[W]はトルクτ[Nm]で1秒間に回した回転数n/60から求められます。
式変形すれば、ハブにかかるトルクを計算できます。
τ=9.34 [Nm](=60[s/min]×400[W]/(2π×409[/min]))
ハブの接線方向には以下の力がかかります。
F=9.34[Nm] ÷ 0.0225[m] =415 [N] = 42.3 [kgf]
ほとんどのトルクはフリー側のスポークにかかりますので、100%すべてがフリー側スポーク(12本)に伝わるとすれば、スポーク1本あたりは
Ts = 42.3 [kgf] / 12 = 3.53 [kgf]
となります。意外と小さいですね。時速50km(動力400W)でやっとスポーク1本を3.5kgfだけ引張または圧縮するだけです。しかも全ての力がスポークに伝わるという仮定でやっとこれくらいです。
反フリー側がどれだけ緩くなるのか?
体重70kgだとして、リアホイールに60%に相当する42kgの荷重がかかるとします。
大げさに考えて左右2本で荷重を分担するので、1本あたり21kgの荷重がかかります。
リム剛性が低い場合でも空気圧によるスポークテンションの減少は15kgf程度。
反フリー側はトルクがかかってもせいぜい1kgfです。
安定した直線走行時は反フリー側がどれだけ緩くなってもせいぜい37kgf程度の減少です。
つまり、反フリー側スポークテンションは最低でも50kgfあれば、座屈することなく構造体として安定し、引張力だけでなく圧縮力としても駆動力を伝えることができそうです。
リムがシュータッチするほどダンシングした場合はどうでしょう?
後日更新します